いいね!の先をゆく”Grow!”はあたらしい消費スタイルになるか?

2011年5月30日Webサービス,マーケティングGrow!,Twitter,ソーシャルグラフ

ソーシャルパトロンプラットフォームGrow!というサービスを最近みててなんとなくだけど考えてることを今日は書こう。

Grow!はサイトに書かれているように「大好きなコンテンツを作っている人を応援したい!」を形にして伝え、幸せな関係を実現しようとしているサービスだ。その一端をになうのがGrow!ボタン。

FacebookのLikeボタンのようにサイトにGrow!ボタンを設置すると、コンテンツに対していいね!をするようにGrow!できる。1Grow!=100pt(=1$)に換算され、コンテンツ提供者に支払われるという仕組み。

投資でもなく商品の購入でもなく、"Grow!ボタンをクリック"して、"コンテンツ提供者"へ金銭的支援を行うことができる新しい消費スタイルが特徴のひとつだ。

ここで少しGrow!からはなれて考えていたことを。

差別化だけじゃむずかしい

おおくの商品が差別化だけではなかなか売れない時代になってきたなぁと感じているのだけど、Webサービスに対してもそんな感じをうけていて、よいサービスをつくってもすぐに真似され、差別化は機能面ではむずしい(真似できない機能というとあまりないんじゃない)。
平均化したサービスがあふれてるんじゃないかな。
まぁWebサービスの流行る要素として機能だけ見るのも違うけどさ。

これからは機能性や利便性だけではなく、そのWebサービスが好きといったことや、Webサービスが実現しようとしていることや進む先や展開、運営者のビジョン、姿勢などといったことに賛同し応援したいとユーザーにおもわれることがより大事になってくるんじゃないかな。

ファン・支援者がふえるサービスにならないとね。
Facebookのファンじゃなくてね(いいねボタンをおすだけのファンとは意味合いがちがう)。
機能が評価されつかわれるだけでなく、愛されてつかわれるWebサービスが今後はのびていくかなとおもう。

点数がたかい飲食店と愛され飲食店

飲食店においてもそんな感じがしている。
東京なら繁華街に行けばおいしいお店もやすいお店はたくさんある。
こんなに飲食店が多いと、選択肢がおおすぎてどこがいいか探すのもメンドウ。
だからお店をさがすときは食べログなどで良さそうなお店をさがす。
点数が高くて口コミがいい飲食店をしぼりこむ。

かんたんに短時間できめることができるからね。可処分時間がかぎられている中で時短は価値があるし、この流れはまだ続くだろうとはおもう。

でもね、食べログのようにユーザーのレビューがあつまるWebサービスは集合知としてのメリットがある反面、僕はつまらないとも感じているんよね。
食べログのような集合知はどんな人がどういう基準や軸で評価しているかバラバラでじぶんにとって良いレビューなんてあまり見かけない。集合知は平均化してしまう。

以前にこんなこともツイートしてた。
http://twitter.com/#!/koziii/status/59113401711992832

レビューや口コミがない飲食店はWebの海ではうもれてしまう。
よくわからないだれかのレビューが低評価でうもれていることもある。
でも、そんな飲食店でも「ぼくは好き!」と思える飲食店はいっぱいあるんよね。
そんなうもれた飲食店をさがして実際に行ってみるのもぼくは好き。

じぶんの好きな飲食店って集合知じゃなくて、"じぶん"が好きって思えるかどうか。
これからの飲食店は味や立地、価格などの要素だけでおおくの集合体としてのお客さまをとらえるんじゃなくて、お店をすきって思ってくれる人をいかにふやすかじゃないかな。

Grow!は浮き輪サービス

[browsershot url="http://growbutton.com/" width="300″]

Grow!に話をもどすと、「好き」「応援したい」「感謝」といったポジティブな感情を「いいね!」より一歩すすんで表明できるのがGrow!だね。それは金銭的な支援にもなるし、Grow!した結果Web上でじぶんのまわりの水面に浮きあげる支援にもなる。
@kazzwatabeがGrow!を「スーパーいいね!ボタン」と言っているのもわかる。

Grow!がアクションとして広まったときには、広大なWebの海でじぶんの友だちや知り合いが好きな飲食店や応援してるWebサービスといったものが浮かびあがってくる。
Webの海の深海にいるコンテンツを浮かびあげることができるのがGrow!だよね。

Grow!がいっぱい集まるコンテンツは一種の集合知かもしれないが、それは単純にレビューで星5つがいっぱい付いているのとは意味が違う。
星5つ付ける気持ちとGrow!する気持ちは似て非なるものじゃないかな?

Grow!のポジティブな感情を可視化する面もいいよね。
Facebookのいいね!ボタンもあるけど、いいね!ボタンはもっとライトで気軽すぎる。
一歩ふみこんだGrow!に僕は期待している。

Grow!はアクションとして広まるのか?

これは気になるところだね。
お金をかけるアクションなので敷居がすこし高くなる。
一部のWebリテラシーの高い人たちやその周りの人だけで盛り上がるだけでは絶対量がたりない。Grow!するというアクションが根付くか、インフラとして成立するか。ここまで行き着くには課題はおおいだろうね。

Grow!はソーシャルグラフに乗っけることでうもれているコンテンツを浮かびあげ、Grow!した人のまわりの人にまで認知を促進する。

支援は可視化され、だれが何にGrow!したかわかる。コンテンツにだれがGrow!したかもわかる。可視化された支援はソーシャルグラフと連動し、友人知人にみられる。このあたりはFacebookアプリにあるCausesがいい事例かもしれないね。

支援者満足を高める仕組み、Grow!したくなるコンテンツ、アクションの促進、Grow!自体の盛り上がり、がうまくサイクルとして回るところまで昇華して軌道に乗っていくのだろう。それだけじゃないとは思うけど。
いちばんは空気だと思うね。ひとりひとりの空気。認識。
そこを変えていくためのサービス展開かな。
キャズムをどう超えていくのだろうか。Grow!のメンバーが考えている構想が表に出てくるのが楽しみだね。

収益モデルは、今のところとてもシンプル。それゆえにサービスの普及が大きな鍵ではあるのだが。だから集中できる面もあるのだが。黒字転換までは時間がまだかかりそう(憶測)。

支援アクションで持続性のある社会へ

収益化する方法論としては、長期的にみて実現していくものと思うけど、サービスモデルとしては、ぼくはとてもチャレンジングで社会を良くしていこうという姿勢・思想がGrow!のサービス自体にあらわれていると思う。そういうサービスを応援したい。

100人の知らない人からよりも知っている1人から、そのひとが愛したお店、コンテンツ、WebサービスがGrow!で浮かびあがる。
送り手は受け手とつながった実感を少しでも感じてもらえるのではないかな。

Grow!が気持ちをおくれる手段のひとつ、あたらしい消費スタイルとして普及し、より支援をうけやすい社会へ変化していくかもね。

ダラダラと書いてきたけど、ぼくはGrow!がすきだよ、期待しているよってはなし。