損益分岐点とECサイトの数字の基本的な考え方

マーケティング損益分岐点,方程式

以前に書いた損益分岐点の記事が意外と好評だったので続きを書く。

今日はECサイトの運営を例に損益分岐点を越えるためのWebサイトでの数字を紐解く。
対象はWebサイト運営初心者、とりあえずGoogleAnalyticsを使い始めたよ、という人向け。

まずは損益分岐点を考える

ECサイトを例にした場合の条件を適当に決める。

1. 前提条件

  • Tシャツ販売を行うECサイトを想定
  • 販売価格:5,000円/枚
  • 仕入原価:1,000円/枚(変動費率:20%)
  • 倉庫賃料(固定費):10万円/月

※ 仮定なので細かい項目は除いて、原価率も適当なシンプルな形にしてる。

2. 損益分岐点を計算する

① まず変動費率が20%なので、限界利益率は80%。

② 計算式に当てはめると下記となる。
損益分岐点売上 = 固定費100,000円 ÷ 限界利益80% = 125,000円

③ 販売個数:Tシャツを何枚売ればいいか計算する。
販売個数 = 損益分岐点売上125,000円 ÷ 販売価格5,000円 = 25枚

ということで、ECサイトで毎月25枚以上Tシャツが売れれば黒字になるのね。
次はECサイトで25枚以上販売するには何人の人にサイトを見てもらえればいいか?を考えてみよう。

何人がECサイトを見ると、25枚以上売れるか?

ここからが今日の本題。
ECサイト立ち上げました! で満足しちゃーいかんよね。
やっとスタート地点に立っただけ。ここから!

サイトへ見にきた人全員に買ってもらえれば考える必要はない。
しかし、現実には見にきた人のうち購入する人が1%に満たないサイトが多いでしょう。

1. Webサイトの数字を紐解く

ユーザーがサイトにきて購入するまでのフローを簡単に書く。

どこかでECサイトを知る → ECサイトにアクセスする → 商品を見る → 商品を購入する

ここで、商品を見て、購入しないユーザーが多いんよね。理由は様々や。実際の店舗でも洋服屋さん行って、買う人より見るだけで帰ってしまう人も多いのと一緒。

計算式にすると、こうなる。

購入者数 = セッション数 × 購入率(CVR)
※ 簡単にするため、購入者1人につき1枚購入と仮定。

セッションは、簡単に言うとサイトを見にきたユーザーの数。
CVRはコンバージョンレートの略。
ここでは購入した人の率で良い。見に来たユーザーのうち購入に至った人の割合やね。
※ これが販売サイトではなく、飲食店など来店をベースとする事業のサイトであれば、メールでの問い合わせなどをゴール設定として、メール問い合わせ数の率がCVRとなる。

2. 何人に見てもらえばいいか逆算していく。

どの程度の規模のサイトになるか?するか?
逆算して人数を予測してみよう。

購入者数 = セッション数 × 購入率 の計算式に当てはめる。
※購入率を0.5%と仮定する。

25人 = セッション数 × 0.5%

セッション数 = 25人 ÷ 0.5% = 5,000人
となる。
月に5,000人がサイトを見にきて初めて25人に売れる計算だ。
当然、利益を出すには、さらに多くの人に見てもらうのも一つの打ち手。

セッション数と購入率の関係

気付いてる人も多いと思うが、何人見てもらえばいいかは、購入率に左右される

  • 購入率が高い場合は、必要なセッション数は少なくなる。
  • 購入率が低い場合は、必要なセッション数が多くなる。

0.5%が信じられない人もいるかもしれない。
しかし、購入率が5%を超えるサイトはそう多くないだろう。

生まれたてのサイトで、まだまだ改善の余地が多いサイトなら購入率が0.5%を下回って全然おかしくない。0.1%〜0.3%程度かもね。
商品特性など様々な要因にも左右されるので一概には言えないところではある。

サイトの成長を計画する

ECサイトを立ち上げた後、どこからユーザーがそのECサイトを認知してアクセスしてきてくれるか?サイトにきたユーザーが購入したいと思うサイトになっているか?

購入者数を増やしていくにはサイトを成長させていくことが求められる。

このあたりの話はまた別の機会で書く。