意外と知らない人が多い損益分岐点売上高を解いていく
常識かと思っていた損益分岐点を意外と知らない人が多かった話。
自分の仕事が最終的にいくら稼いでいるのか把握していない。
そんな人が意外と多い。売上を意識しなくていい職種の場合に多い。
しかし、ビジネスマンなら自分の成果が何か?会社の決算書のどこに影響しているか?など考える事は、仕事への動機づけにもなるでしょう。
成果を測るわかりやすい指標と損益分岐点
その1つの指標が、「売上」。
自分、チーム、課、部署、会社の成績を見るのにわかりやすい指標。
そして、もう1つが「利益」。
利益には、限界利益・粗利益(売上総利益)・営業利益・経常利益・当期純利益など様々な利益があります。
さて指標として、「売上」と「利益」を見ていく過程で、まず儲かるの?損してるの?いくら売れば儲かるの?売上に対して原価がいくらだったら利益でるの?など判断をするため に使うのが、
「損益分岐点」
です。
損益分岐点とは、売上-費用=利益=0円となる場合の売上です。損益分岐点売上高やBEP(Break Even Point)とも言います。
売上= 費用となるポイントを見つけるんですね。損益トントンってことですね。
売上>費用であれば利益がでる。
売上<費用であれば損失がでる。
そのどちらでもない売上=費用がどこか。
それを知ることから始めようということですね。
「いくら売上があれば利益がでるのか?」
です。
では、続いて、損益分岐点売上高の計算をしてみましょう。
損益分岐点売上高の計算方法
結論から言うと、損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率で計算できます。
では、結論までの過程を計算してみましょう。
① 売上 - 費用 = 利益
↓
② 売上 - ( 変動費 + 固定費 ) = 利益
費用は売上の変動に比例して増減する「変動費」と、売上の変動に関係なく発生する「固定費」の2つに分けられます。
↓
③ 売上 - ( 変動費 + 固定費 ) = 0
先程の話しのとおり、利益が0となるポイントを見つけるので利益のところを0に置き換えます。
↓
④ 売上 - 変動費 = 固定費
↓
⑤ 限界利益 = 固定費
売上から変動費を差し引いたものを「限界利益」と言います。
↓
⑥ 売上 × 限界利益率 = 固定費
限界利益は、売上に限界利益率を掛けて計算することができます。
ここで、「限界利益率 = 1 - 変動費率」 と置き換えることもできます。
↓
⑦ 売上 = 固定費 ÷ 限界利益率
または、売上 = 固定費 ÷ ( 1 - 変動費率 )
となります。
【事例】 おいしいシュークリームのワゴン販売計画!
では、簡単な事例で計算をしてみましょう!
おいしいシュークリームのレシピを手に入れ、チャンスと考えたアナタは会社を辞め、ワゴン販売する 計画を立てたことにしましょう。アナタは豊富な資金があるわけではなかったので、ワゴンを購入ではなくリースすることにした設定です。
計画はこんな感じになりました。
販売価格:1個100円
食材費:1個あたり20円
ワゴンのリース料:月10万円
1.コストを変動費と固定費に分ける
さて、毎月何個売れば、利益が出るでしょう?
まず、費用の性質を考え、変動費と固定費に分けてみましょう。
食材費は、1個作るのに20円かかります。
ということは、1個売れるたびに20円かかるんです(ここでは在庫を無視します)
売上が上がるたびに食材費もあがりますね!
てことは、食材費は「変動費」なんですね
次に、ワゴンのリース料を考えてみましょう。
毎月10万円かかるということは、売上が0円だろうが100万円だろうがリース料は10万円かかるんです=「固定費」ということですね。
ココまでわかったら、先程の損益分岐点の計算式をもう一度見てみましょう!
2.限界利益率を計算する
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率 でしたね。
限界利益率がまだわかりませんね。計算してみましょう。
① 限界利益率 = 1 - 変動費率
↓
② 限界利益率 = 1 - ( 変動費 ÷ 売上 )
と置き換えることができます。
↓
③ 限界利益率 = 1 - ( 20円 ÷ 100円 )
限界利益率 = 1 - 0.2 = 0.8 と計算されます。
3.損益分岐点売上高を計算してみよう!
では、改めて損益分岐点の計算式に入れてみましょう!
① 損益分岐点売上高 = リース料 10万円 ÷ 限界利益率 0.8
↓
② 損益分岐点売上高 = 125,000円 となります!
月に125,000円以上売れば利益が出るということがわかりましたね~
では、もう一歩すすんでみましょう。
4. 125,000円を売り上げるための販売個数を計算する
125,000円を売り上げるにはシュークリームを何個売ればいいのでしょうか?
簡単な計算式ですね。
① 販売個数 = 損益分岐点売上高 ÷ 販売価格
↓
② 販売個数 = 125,000円 ÷ 100円
↓
③ 販売個数 = 1,250個 売れば損益トントンになるんですね。
さらにもう一歩!
毎日何個売れば月に1,250個 以上売れるのでしょうか?
1,250個 ÷ 30日 = 約42個/日 ですね!
43個目からは利益が出るんですね~
以上が、損益分岐点の基本的なお話でした。
自分の会社の商品・サービスで計算してみるとわかりやすいかもしれません。自分の会社の事業がどう成り立ってるのかわかってくるでしょう。
次回は、損益分岐点の簡単な活用ポイントを書いていこうと思います。
第1回 :この記事
第2回 : 目標利益の分岐点売上高を探る
第3回 : 損益分岐点の3つの活用方法