損益分岐点の3つの活用方法
前回までで損益分岐点売上高と目標利益分岐点売上高の計算方法を簡単な事例とともに読み解いてきました。
第1回 : 意外と知らない人が多い損益分岐点売上高を読み解いていく
第2回 : 目標利益の分岐点売上高を探る
今回は、上記2つを計算するだけではなく、活かし方をシンプルに書いていきます。
活かし方のテーマは、 『分岐点を下げる』です。その方法を3つご紹介します。
1.方程式から考える
損益分岐点の計算式を思い出してみましょう。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ ( 1 - 変動費率 )
でしたね!
このシンプルな式から分岐点を下げるためには、どこを改善すればいいかを考えます。
要素は、『固定費』『変動費率』しかありませんね。
もう少し掘り下げてみましょう。
変動費率は、変動費 ÷ 売上 で計算できます。
ということは、要素は『固定費』『変動費』『売上』の3つになります!
これら3つを改善することが、『分岐点を下げる』ことに繋がるんです。
では、1つずつ見ていきましょう。
2.固定費を下げる
3つの要素の中で一番シンプルですね。
固定費を下げることで損益分岐点は下がります。
前回までのおいしいシュークリームのワゴン販売で考えてみます。
【計画】
販売価格:1個100円
食材費:1個あたり20円
ワゴンのリース料:月10万円
上記の計画でしたね。損益分岐点売上高は125,000円でした。
毎日42個売らなければならないという結論でしたね。
経営者としては、もっと分岐点を下げて利益を出しやすくしたいですよね。
そこで考えました。
「リース料高いよなー、もっと安くならないだろうか?」
早速、業者に交渉し、懇願したところ月8万円まで下がりました!
【計画】
販売価格:1個100円
食材費:1個あたり20円
ワゴンのリース料:月10万円 → (交渉後) 月8万円
損益分岐点はどのくらい下がったか計算してみましょう。
損益分岐点売上高 = 8万円 ÷ 0.8 = 100,000円
25,000円下がりましたね!
3.変動費を下げる
変動費を下げれば、変動比率が下がり、限界利益率が上がります。
変動費が下がり利益が増えれば、それだけ販売個数は少なくても利益が出ますよね。
よって、損益分岐点売上高も下がるということです。
【計画】
販売価格:1個100円
食材費:1個あたり20円
ワゴンのリース料:月10万円
ここでは、1個あたり食材費を下げることですね。
シュークリームの材料の1つに牛乳があります。
今までは業務スーパーで買ってましたが、知り合いのツテで近くの農場から安く仕入入れることができるようになりました!
【計画】
販売価格:1個100円
食材費:1個あたり20円 → 1個あたり10円
ワゴンのリース料:月10万円
では、どのくらい引き下げることができたか計算してみましょう。
損益分岐点売上高 = 10万円 ÷ ( 1 - (変動費率:10円 ÷ 100円) )
↓
損益分岐点売上高 = 10万円 ÷ ( 1 - 0.1 ) = 111,111円
となりました。13,888円下がりましたね!
4.売上単価を上げる
3つ目は、要素『売上』です。
ただ売上を上げ下げするのではわかりませんね。
次のように考えてみましょう。
売上を上げる
↓
売上単価を上げる
↓
販売価格を引き上げ
↓
シュークリームがあまりにもおいしく、100円以上で売れると判断したアナタは強気の1個500円に価格変更しました!
【計画】
販売価格:1個100円 → 1個500円
食材費:1個あたり20円
ワゴンのリース料:月10万円
さて、どうなるか計算してみましょう。
損益分岐点売上高 = 10万円 ÷ ( 1 - (変動費率 20円 ÷ 500円) )
↓
損益分岐点売上高 = 10万円 ÷ ( 1 - 0.04 ) = 104,166円
となりましたね。20,833円下がりました!
5.まとめ
【分岐点を下げる3要素】
『固定費を下げる』
『変動費を下げる』
『売上単価を上げる』
これらを使いこなせば、アナタのビジネスはより利益を出しやすくなり、さらに利益を大きくしてくれるでしょう。
大きく分けると、
①原価低減のための改善、原価構造の改革
②販売価格を上げられるだけの価値提供、そのためのマーケティング
が 重要な課題となります。
自分の会社がそれらに向けて、どう活動しているか一度調べてみたり、これからどう行動していけば改善できるか考えてみると、もっと仕事が面白くなるかもね。
それも企画でしょう~