ヨネックス VCORE 100 2021を試打インプレレビュー!VCOREの高弾道スピンが武器に【テニス】

2021年5月6日テニス

2021年1月にヨネックスからVCORE 100が発売されたので、試打しました。同じタイミングでヨネックスのEZONE 100 2020も試打して、どちらが自分の求めているラケットか比較。これまではHEAD SPEED MP 2020を1年ほど使用してきたので、SPEED MPを基準に違いを比較します。

VCORE 100の使い勝手や今作の特徴はどんな感じか?初心者~中級者に適しているのか、どんな人に向いているラケットかレポーティングします。

結論

跳弾道スピンとホールド感がよくなったVCORE 100 2021

  • やわらかく前作の硬さがない!SPEED MPと遜色ないマイルドな打球感
  • 楽にスピンをかけられて高弾道かつ高く跳ねる
  • 強めの飛びだが、ハイスピンで収まるので安定してさばきやすい

黄金スペックなのでスペックが類似

いずれも黄金スペックのため、スペックは類似しています。①フェイス100インチ・②重さ300g・③バランス320mm・④ストリング16×19の4点が共通。

厚さはYONEX VCORE 100とEZONE100で違いが出ていますね。EZONEは真ん中がほかより26mmとやや厚めで、飛びを良くしているように見えます。VCORE 100は上半分の厚みをうすくすることで、振り抜きをよくしているそうです。

テクノロジーにも違いがあります。VCOREには2G Namd Flex Force、EZONEにはM40X。

スペックYONEX VCORE 100 2021YONEX EZONE 100HEAD SPEED MP
フェイス面積100inch100inch100inch
平均重量300g300g300g
バランスポイント320mm320mm320mm
長さ27inch27inch27inch
厚さ24-25-22mm23.5-26-22mm23mm
ストリングパターン縦16本×横19本縦16本×横19本縦16本×横19本
素材・テクノロジーHM GRAPHITE
2G Namd Flex Force
VDM
HM GRAPHITE
M40X
VDM
Graphene 360+
グリップサイズG1・G2・G3G1・G2・G3G2・G3・G4

2021 VCORE 100の性能レビュー

打球感

前作は硬い打球感が難点でした。今作のVCORE 100は、その硬さが全くというほど感じられず、むしろ柔らかい印象でした。SPEED MPと比べても違和感ないやわらかさで、非常に使いやすくなってました。2021 VCORE 100は、万人に扱いやすいやわらかさに仕上がっていると思います。それでも硬いと感じる方は、ガットで調整できる範囲でしょう。

やわらかさは、新素材の2G Namd Flex Force(ツージー・エヌアムド・フレックス・フォース)により、前作よりしなりが良くなったためです。2G Namdがフレームの下部とシャフト上部に使われているため、しなりやすいのです。しなったあと素早く戻ることでパワーも出る一石二鳥な素材で、実際にパワーロスがないと実感できました。

ちなみに打球音が低めのにぶい音なので、好みが分かれるところです。ぼくは振動止めをつけてる方が打球音は好きなので、VDM搭載でも振動止めつけます。
(2021/5/9 追記)
VCORE 100を購入後、普段使っているストリングに変え、振動止めをつけて打ってみたら、高めの打球音になり、気持ちのいい打球感に変わりました。打ってて楽しいです。
使用ストリング:縦 バボラ トニック x 横 テクニファイバー ブラックコード1.24mm

反発性

VCORE 100は、一言でいうと『よく飛ぶのにスピンで落ちる』です。パワーアシストがそれなりにあって飛びが強く、SPEED MPより飛ぶ印象を受けました。ホールド感があるため、コントロールすれば飛びすぎるということもなく、素直な反発性で楽に打ちやすいです。

フレーム上部の幅を広げたアイソメトリック形状により、スイートスポットが広くなっています。スイートスポットの広さと、パワーアシスト、適度なホールド感の3点により、安定感のある返球・試合展開をできます。ちょっとくらい差し込まれても意外と普通に返球できます。

厚く当てて振り抜くと、オーバーにならずスピンによりいい感じにコート内に収まってくれるので、安心して打っていけます。

どうしても飛びが強すぎて合わないという人にはVCORE 98をオススメします。98インチのほうが反発を抑え、コントロール性が良いので、パワーがある人にはVCORE 98のほうが向いているでしょう。

コントロール性

面ブレはほとんどなく、食いつき感があるのでしっかり振り抜く分にはコントロールは問題ありません。黄金スペックのラケットの中では、暴れることが少なくコントロールしやすい方です。スピン性能が高いので、多少暴れてもおさまりやすいことも要因のひとつかもしれませんね。EZONE 100のほうが暴れやすい印象でした。

よりコントロールを重視する人は、VCORE 98を選んだほうがいいですね。

スピン

コンセプトの『跳弾道』の言葉のとおり、自然に打つだけでスピンがかかりやすく勝手に軌道が上がります。バウンド後も高く跳ねる。EZONEやSPEED MPはスピンをかけようと思えばそこそこかけられるが、VCOREはグリグリにスピンを自由自在にかけられる印象でした。フラットに打つだけでもスピンがそこそこかかります。

スピンがかかるからといって、スピードが犠牲になっている感じもなく、今まで通りのスピードが出ています。スピン量の調整がしやすく、スピンを意識的に掛けると、それに応じてスピンが強くなりやすかったです。スピン量の調整がしやすいということは、緩急をつけやすくなり、高弾道にもできるので立体的なテニスがしやすくなると思います。

ボールがスピンによって持ち上がるため、ネットしそうなボールもネット上を通過してくれることでVCOREに救われた場面もありました。差し込まれたときなどディフェンシブに返球するときにもスピン性能によりネットしづらく助かります。

新グロメット構造を採用することで前作よりストリングが動くようになりました。ストリングが動くスナップバックによってスピン性能が向上しています。スピンの掛けやすさ・スピン量はこのスナップバック効果が効いている印象でした。

2021 VCORE 100のショットタイプ別レビュー

ストローク

フォアハンドストローク

しっかり振っていくと、しっかりスピンが掛かって飛んでいきます。飛びが強いものの、スピンによってベースライン際に収まるイメージです。フラットで厚く打っても安定感がありますね。スイングスピードがない人でもしっかり飛んでスピンで落ちます。ただ、中途半端な打ち方になるとオーバーしちゃう可能性があります。

適度なホールド感で球持ちがいいので、コントロールしやすいほうでしょうね。SPEED MPと遜色ない印象。

スピン性能を活かしてムーンボールや高めの軌道で飛ばすことに向いています。スピンボールが苦手な人でもカンタンにスピンかけれますね。コンセプトの跳弾道のとおり、高めの軌道から落として高いバウンドで攻めやすい。

低めの弾道でネットミスしやすい人には、ボールが持ち上がってくれて安定感につながるでしょうね。また、差し込まれたりディフェンシブなときにも意外と深めに返球できるところが良い点。

(2021/5/9 追記)
普段使用しているストリングで打ってみると、HEAD SPEED MPより若干スピード上がってパワーも出しやすい印象に変わりました。バシバシ振り抜いて打っていけるイメージです。

バックハンドストローク

素直に飛んでくれるのでSPEED MPのときと変わらずバックハンドストロークできました。高めのボールをバックハンドで打つときも、スピンによってうまく落ちてくれるので安心して打っていけます。

(2021/5/9 追記)
バックハンドのフラットショットは、ボールの乗りがよく、スーッと真っ直ぐ飛びスピンのかかり具合で落とせる感じがあって打ちやすい。

スライス

スライス回転もやはりよくかかりますね。スライスショットが浮いてしまうことはなく、滑っていくスライスが打てます。おそらく食いつき感の良さがスライスに生きているのかもしれません。

ボレー

ボレーはつなぐのも決定打を打つのも当てるだけで飛ぶので安定的でした。SPEED MPと比べても違和感がなく、打ち負けることもありません。ダブルスでポーチボレーするときには、深めに返せて決定力はそれなりにありますね。飛びが強いラケットだけど、ボレーがオーバーすることはなくスッポ抜けることはありませんでした。

食いつき感がよくスイートエリアが広いので、ボレーのコントロールがしやすい点は◎

VCORE 100はSPEED MPよりもスイングウェイトが重いので、扱いやすさはSPEED MPのほうに軍配が上がるが、VCORE 100も問題ない範囲でしょう。

サービス

フラットサーブ

スピードが凄くでるわけではありませんが、自然なスピンがかかったフラットサーブです。フラットサーブでオーバーしすぎることが少なく、ライン際におさまりやすかったですね。ラケットはフレームを薄くするなど振り抜きを良く改善したそうですが、そこまで振り抜きが良いわけではないのでスピードが出づらいのかもしれません。

スピード重視ならEZONE 100のほうが向いています。VCORE 100のフラットサーブはSPEED MPとさほど変わらないスピードの印象でした。VCORE 100でスピードを出したい人は、反発性のあるストリングで調整するといいでしょうね。

(2021/5/9 追記)
購入後に使用しているストリングでサーブすると、前よりスピードが上がりました。フラットサーブをしっかり振っていってもオーバーせずにライン際にスパーンと打てます。おかげでセンターのサービスエースが決定率上がりました。

スピンサーブ

上から落ちる曲線があきらかにEZONE 100やSPEED MPと違って、ネット越えたあたりからグンッと落ちる軌道を描いていました。バウンド後も高めの軌道を描いて跳ねるサーブになるため、相手が取りづらそうなスピンサーブになりました。回転量が多くなるため、相手がリターンでネットミスする確率が上がりました。

ハイスピンをかけやすいため、スピンサーブが楽に打てますね。セカンドサーブやアドサイドからのワイドサーブがやりやすく、スピンサーブの出番が増えそうな予感。

スライスサーブ

スライスサーブもスピンがかかりやすく、よく曲がって伸びていきました。デュースサイドからのワイドが活きますね。スピン系サーブが苦手な人でもスピンがかけやすいことが特徴。

向いているプレイスタイル

バランスが良いので色んなプレイスタイルができると思いますが、スピン性能を活かして下記のプレイスタイルが向いていると思います。

  • 高さを活かした立体的な展開
  • 高く跳ねるスピンショットで相手を詰めていく
  • 粘り強くつなぐスタイル
  • 前衛でポーチに出て叩いていく

VCORE 100の総評

『しっかり飛んで、しっかりスピンでベースラインに収まる』

飛び・スピンのかかり・コントロールがとてもバランスよいラケットです。強い飛びもスピン性能と相まってちょうどよくベースラインにおさめ、バウンド後の威力もあるのでいいバランス感に仕上がっています。

やわらかく食いつき感がよくなっているので、コントロールもしやすく、スピンもあるので、どのショットも安定感があることも良い点。

自然とスピンがかけやすく、コントロール性も良いので、初級者にも使いやすく、中級者以上でもガシガシ打っていける幅広い対象者のラケットになっていると思います。